養子縁組による相続対策について
基礎控除額と非課税枠が増加する
養子縁組により法定相続人が増加すれば基礎控除額が増加し、相続税が減少します。基礎控除額は相続税の課税価格から控除することができるため、仮に相続財産の評価額が基礎控除額以下であれば、相続税は発生しません。基礎控除額は、「3000万円+600万円×法定相続人の数」で求めます。
また、生命保険料と死亡退職金の非課税枠も増加します。非課税枠はともに、「500万円×法定相続人の数」で求めます。
法定相続人となれる養子の数の制限について
養子を取ることにより相続税の節税ができますが、無制限に行うことはできません。過度な節税を防ぐために、法定相続人となれる養子の数には下記の制限があります。
- 実子がいる場合には、法定相続人となれる養子は1人まで
- 実子がいない場合には、法定相続人となれる養子は2人まで
※相続対策として一般的な普通養子縁組の場合を想定しています。
相続対策としての養子縁組の注意点
孫を養子にすると相続税の2割加算の対象
昔から資産家一族では、孫を養子にすることにより、「自分⇒子⇒孫」へ財産を相続させるのではなく、「自分⇒孫」とし、相続の回数を減らすことにより相続税の納める金額を少なくするスキームがよく使用されていました。このスキームの封じ込めとして、平成15年度税制改正で、養子となった孫が祖父母から相続した場合、相続税の2割加算の制度が適用されることとなりました。ですので、孫にかかる相続税が1000万円だった場合、2割加算により200万円が加算され、納税額は1200万円となります。
相続人間でトラブルになりやすい
法定相続人間においては実子であっても養子であっても相続分は同等となります。当然、実子としては自分の取り分が少なくなってしまうため、心情的に不満を抱くケースは少なくありません。他の相続人がいるにも関わらず養子縁組をする場合、後々トラブルにならないための配慮が求められます。