生命保険金については、保険請求すると「お支払明細」を取得することができ、各種未収入金も請求する中で明細を取得することができます。しかし、預貯金の残高証明書、有価証券の残高証明書は相続税申告のために各金融機関で取得する必要があります。また、固定資産税が発生しない土地・家屋についても、固定資産税評価額を把握するために各市区町村で取得する必要があります。
残高証明書の取得について
残高証明書とは
残高証明書には指定した日付時点の指定口座内の残高が記載されます。そのため、残高証明書によって、相続開始時点の各口座残高を客観的に証明することができ、相続財産を確定することができます。通帳でも相続開始時点の残高を把握することはできますが、①通帳に記載されない債務が記載されること、②同行内の他の口座の存在の有無を知ることができること、③口座を凍結することができるので特定の相続人が入出金できる状況を防げること、から残高証明書を取得するのが一般的です。
なお、相続税申告の際には相続開始時点の残高だけでなく、過去7年間程度の預貯金の入出金状態を把握する作業も必要になります。そのため、該当期間の通帳がない場合は、残高証明書の取得と同時に「取引履歴」の取得請求もしましょう。
取得の際の注意点~全金融機関に共通~
日付は相続開始日にすること
必ず相続開始日の残高証明書を取得してください。窓口で取得する際は「いつ時点の残高証明書ですか?」と聞かれるので、相続開始日を回答してください。
同行内の全ての口座の残高証明書を取得すること
同行内の別支店で相続人が知らなかった口座が見つかることがあります。相続人が認知していない他の口座が存在する場合にその残高証明書も取得できるようお願いしましょう。
既経過利息を計上してもらう
定期預金等については、相続開始日時点での既経過利息も残高証明書に記載するようお願いしましょう。自分で計算することもできなくはありませんが、計算がかなり面倒ですし、ミスしやすいです。相続税申告をする場合に必要となります。
申請方法
残高証明書の申請に必要な書類は金融機関ごとで異なります。申請する際は、まず口座がある支店窓口に電話をし、必要書類を確認しましょう。窓口でしか対応してくれない場合は最寄りの支店で手続きができるので、最寄りの支店へ訪問するのがいいと思われます。
申請できる者
基本的には相続人となります。相続人以外が代理する場合は、相続人からの委任状が必要となります。
必要書類
金融機関により異なりますが、基本的には下記の書類が必要とされます。
- 残高証明書発行依頼書(HPでダウンロード又は窓口で取得)
- 法定相続情報一覧図(又は戸籍謄本一式)
- 申請する方の印鑑登録証明書(基本3か月以内)
- 申請する方の本人確認証(免許証等)
- (念のため)請求する方の実印
印鑑証明書は基本3か月以内ですが、ゆうちょ銀行は6か月以内となっています。また、ゆうちょ銀行は委任状の形式も決まっています。法定相続情報一覧図や戸籍謄本は原本が必要なため、複数箇所を同時進行で行う場合には、法定相続情報一覧図を作成したほうが便利です。残高証明書の取得には1~2週間程度かかることが多いため、早めに手続きを開始しましょう。
名寄帳の取得について
名寄帳が必要なケースについて
通常不動産を保有していれば固定資産税の支払いをしており、被相続人が保有している不動産の所在地や固定資産税評価額を知ることができます。しかし、次の2つの場合には固定資産税納税通知書が被相続人宛てに来ません。
- 共有名義の不動産である場合
- 固定資産税が非課税である不動産である場合
上記の場合には、該当する市区町村さえわかれば、名寄帳を取得することにより、物件所在地・地積・固定資産税評価額等を知ることができます。該当する市区町村が全く分からない場合にはお手上げですが、可能性のある市区町村が分かる場合は有効な手段となります。
名寄帳の取得方法
申請先
各市区町村の固定資産税課
申請できる者
原則相続人(委任状があれば代理人も可)
必要書類
名寄帳の取得は基本的に郵送手続きが現実的な場合が多いです。必要書類を郵送する前に、念のため固定資産税課に問い合わせをするほうがスムーズにいくのでおすすめです。基本的には下記書類が必要となります。
- 申請用紙
- 本人確認書類(免許証等)
- 相続人であることが確認できる書類(戸籍謄本や法定相続情報一覧図)
- 被相続人の除籍謄本
- 返信用封筒