札幌市内で土地を相続することになった際、「うちの土地は四角形ではなく、いびつな形をしているけれど、相続税はどうなるのだろう?」と疑問に思う方は少なくありません。
実は、きれいな長方形や正方形ではない土地のことを、相続税の専門用語で「不整形地(ふせいけいち)」と呼びます。
不整形地は、一般的な四角い土地(整形地)に比べて使い勝手が悪いため、相続税を計算するときの「評価額」を下げることができる決まり(不整形地補正)があります。土地の評価額が下がれば、その分だけ相続税の負担も軽くなります。
しかし、札幌の土地ならではの特徴(積雪や間口の広さなど)や、不整形地の正しい計算ステップを知っておかないと、税務署から指摘を受けたり、逆に本来下げられるはずの税金を多く払いすぎてしまったりするリスクがあります。
本記事では、札幌で多くの相続税申告をサポートしている札幌相続税相談室Giraffeが、不整形地の評価方法と、それが相続税に与える影響について、具体的なシミュレーションを交えて分かりやすく解説します。
1. そもそも「不整形地」とは?どんな形が該当する?
相続税を計算する際、土地の価値は国税庁が定める「路線価(ろせんか)」を基準に計算します。この路線価は、その道路に面している「きれいな長方形や正方形の土地(整形地)」を前提として設定されています。
そのため、以下のような「いびつな形をした土地」はすべて不整形地として扱われ、評価額の減額対象になります。
- L字型の土地(かぎ型地)
- 三角地や多角形地
- 道路に接する部分(間口)が極端に狭く、奥に広がっている土地(旗竿地)
- 傾斜や段差、湾曲がある土地
札幌市内の古い住宅街(例えば、中央区の山鼻エリアや、北区・東区・白石区などの昔からの区画)では、道路の通りに対して斜めに家が建っていたり、過去の分筆(土地を分けること)を繰り返した結果、綺麗な四角形ではないL字型の敷地になっていたりするケースが非常に多く見られます。
不整形地の詳しい概要や、基本的な土地評価の仕組みについて確認したい方は、当事務所の相続税のお役立ち情報もあわせてご参照ください。
2. 不整形地はなぜ相続税が安くなる?減額の仕組みと補正率
不整形地は、家を建てる際にデッドスペース(使えない無駄な空間)が生まれやすく、日当たりや通風が悪くなる傾向があります。さらに、札幌をはじめとする北海道特有の事情として「冬場の排雪・堆雪スペースの確保」という大問題があります。
きれいな四角い土地であれば、敷地の端に綺麗に雪をまとめたり、ロードヒーティングを効率よく敷設したりできます。しかし、L字型の奥まった部分や、細長い通路部分がある旗竿地の場合、除雪した雪を置いておく場所がなかったり、重機が奥まで入れず手作業での除雪を強いられたりします。
このように、市場価値や利用価値が低いと認められるため、国税庁は「不整形地補正率」という最大で40%(4割減)もの減額を認める補正係数を設けています。
不整形地の減額割合(補正率)は、以下の4つの要素の組み合わせで決まります。
- 地区区分(商業地区、普通住宅地区など。札幌の住宅街の多くは「普通住宅地区」)
- 地積(土地の面積)(面積が大きいほど、使い勝手の悪さの影響が増すため減額率が大きくなる傾向があります)
- かげ地割合(かげちわりあい)(※最重要。後述します)
- 間口狭小補正や奥行長大補正との重複適用
土地の評価は非常に奥が深く、これ以外にも多くの特例があります。例えば、最も強力な節税枠である「小規模宅地等の特例」については、こちらの【札幌】小規模宅地等の特例とは? 最大80%減額をわかりやすく解説で詳しくまとめています。
3. 【実践】不整形地評価の4つの計算ステップ
税理士が実際に不整形地を評価する際、どのような手順を踏んでいるのかを解説します。最も重要になるのが「もしこの土地が綺麗な四角形だったら?」と仮定して描く「想定整形地(そうていせいけいち)」という考え方です。
ステップ①:想定整形地を囲む
不整形地の全体をすっぽりと包み込むような、必要最小限の面積となる長方形(または正方形)を白図の上に描きます。これを「想定整形地」と呼びます。
ステップ②:「かげ地」の面積を計算する
想定整形地の面積から、実際の不整形地の面積を差し引いた「はみ出している(使えない)空間」のことを「かげ地(陰地)」と言います。
ステップ③:「かげ地割合」を算出する
以下の数式を使って、全体に対してどれくらい無駄なスペースがあるかをパーセンテージで出します。
この「かげ地割合」が大きければ大きいほど(=いびつな形であるほど)、不整形地補正率が小さくなり、評価額が大きく下がります。
ステップ④:補正率を適用して評価額を出す
国税庁の「不整形地補正率表」から、地区区分・地積・かげ地割合に応じた数値を当てはめ、通常の路線価計算から減額を行います。
4. 【札幌の具体例】L字型土地の相続税評価シミュレーション
ここでは、差別化のために札幌市内の具体的なエリアを想定したシミュレーションをご紹介します。形がいびつなだけで、どれくらい相続税の評価額が変わるのかを見てみましょう。
【設定条件】
- 場所:札幌市北区の住宅街(普通住宅地区)
- 前面道路の路線価:100,000円/㎡
- 実際の土地の形:奥が広がっているL字型の土地(実際の面積:350㎡)
- 想定整形地(全体を囲んだ四角形)の面積:500㎡
まずは「かげ地割合」を計算します。
普通住宅地区で地積が350㎡、かげ地割合が30%の場合、国税庁の補正率表に当てはめると、不整形地補正率は「0.90」となります(※地区や細かな地積区分によって変動します)。
つまり、形がいびつであるという理由だけで、10%の減額が認められることになります。
- 通常の整形地とした場合の評価額(概算):
100,000円 × 350㎡ = 35,000,000円 - 不整形地補正を適用した評価額:
35,000,000円 × 0.90 = 31,500,000円
不整形地として正しく評価を補正した結果、350万円も土地の評価額が下がりました。
もし相続税の税率が20%のケースであれば、これだけで約70万円の相続税キャッシュが節税できる計算になります。知っているか知らないか、そして正しく図面を引けるかでこれだけの差が生まれます。
ご自身のケースで「そもそも相続税申告の手続きが必要になるかどうかわからない」という方は、【札幌】相続税申告が不要なケースとは? 判断基準を解説をチェックしてみてください。
5. 札幌・北海道の不動産ならではの不整形地評価の注意点
北海道、とりわけ札幌市内の不動産を評価する際には、本州の基準だけで判断すると痛い目を見るポイントがあります。
① 間口が狭い土地と「雪対策」の罠
札幌の「普通住宅地区」において、間口(道路に接している幅)が狭い不整形地は、間口狭小補正もダブルで適用できるため大幅な減額が狙えます。
しかし、実務上注意が必要なのは、札幌市内の「建築基準法上の道路」の取扱いです。特に冬場に除雪車が入る道路なのか、あるいは持分のある「私道(位置指定道路など)」なのかによって、土地の使い勝手(=評価)はさらに変わります。不整形地かつ私道にしか面していないような場合は、さらに評価を下げられる可能性があります。
② 傾斜地や「がけ地」が混ざっているケース
札幌市中央区の宮の森・伏見エリア、南区の澄川・藤野エリア、西区の西野・平和エリアなどは、坂道や傾斜が多く、土地の形自体が歪んでいるだけでなく「高低差」があるケースが珍しくありません。
土地の一部が「がけ地(急傾斜地)」になっている場合、不整形地補正に加えて「がけ地補正」という別の減額ルールを重ねて使うことができるため、評価額が半額近くまで下がることもあります。
このような特殊な不動産評価は、現地の状況や役所での調査(都市計画法や建築基準法の制限チェック)が欠かせません。当事務所がこれまで対応してきた税務調査の経験から見ても、土地評価のミスは税務署に最も目をつけられやすいポイントです。税務調査の実態については相続税の税務調査はどれくらいの確率で来る? 税理士が実務ベースで徹底解説で詳しくお話ししています。
6. 不整形地の相続は「配偶者控除」なども組み合わせたトータルな遺産分割を
不整形地のような「評価額は下がるけれど、実際に売ろうとすると買い手がつきにくい(あるいは安くなる)土地」を誰が相続するのかは、二次相続(次の相続)まで見据えて慎重に決める必要があります。
例えば、お母様(配偶者)が土地を相続すれば「配偶者の税額軽減(配偶者控除)」によって1億6,000万円までは相続税がかかりません。しかし、将来お母様が亡くなった時(二次相続)に、そのいびつな土地を子どもたちが相続して売却処分に困る、というトラブルが多発しています。
目先の相続税を安くすることだけにとらわれず、家族全員が納得できる遺産分割を組み立てることが重要です。配偶者控除のメリットと二次相続の注意点については、こちらの【札幌】相続税の配偶者控除とは? 節税効果と注意点に詳しくまとめています。
まとめ:札幌の複雑な土地評価は「札幌相続税相談室Giraffe」へ
不整形地の評価は、単に「四角形ではないから安くなる」という単純なものではありません。
- 想定整形地をどのように設定するか(複数の引き方がある場合、どれが最も有利か)
- 間口や奥行の補正とどのように重複させるか
- 札幌の地域性に即した利用価値の低下をどう証明するか
これらは、机の上の計算だけで判断すると、高確率で「税金を多く払いすぎる」原因になります。土地の評価を1㎡変えるだけで、最終的な納税額が数十万、数百万と変わってくるのが相続税の恐ろしいところです。
札幌相続税相談室Giraffe(関口達也税理士事務所)では、登録者6万人を超える税理士YouTuberである代表をはじめ、相続税に精通した税理士と司法書士が100%直接ご面談から申告まで対応いたします。
札幌市内および北海道全域の不整形地、広大地、傾斜地などの複雑な土地評価・節税対策の実績が豊富にございます。初回面談は無料となっておりますので、「手元にある土地の図面が歪んでいる」「相続税がいくらになるか不安」という方は、どうぞお気軽にお問い合わせフォームや公式LINEからご相談ください。







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